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無意識に働く脳とビジネスインテリジェンスの関係性

ビジネスの世界はデータで溢れています。何も考えずに数字やグラフを出しても伝えたい内容を理解してもらえないことが多いと思います。ここで重要になるのが「Preattentive Attributesと私たちの脳の仕組み」です。これらを組み合わせるとデータがより素晴らしいものになります。

Pre-attentive Attributesとは?

Preattentive Attributesは直訳すると事前注意属性です。私たちの脳が無意識的に認識している色や形、位置などの要素のことです。

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これら「Preattentive Attributes」の中でも脳が無意識に認識できる強度に違いがあり、位置が最も強度が強く、次いで色相、サイズ、形状といった要素が順に並びます。

位置(Position)
 ▼
色相(Color Hue)
 ▼
サイズ(Size)
 ▼
形状(Shape)

シーンに応じてこれらの要素を上手く使うことができればデータが無意識レベルで理解しやすいものになります。

人間の脳には3つの記憶がある

人間の記憶には大きく分けて「Sensory Memory(感覚記憶)」「Short-term Memory(短期記憶)」「Long-term Memory(長期記憶)」の3つがあります。

  1. 感覚記憶(Sensory Memory)
    これは超短命で、目や耳から入ってきた情報を一瞬キープするだけです。そしてここがビジネスデータの視覚化にめちゃくちゃ大事です。なぜなら、Pre-attentive Attributesはここで処理されるからです。
  2. 短期記憶(Short-term Memory)
    ここは少し長持ちする記憶で、数秒から数分でちょっとした情報を一時的に保持します。例えば、テストの前日に丸暗記した内容とかはここに当てはまります。
  3. 長期記憶(Long-term Memory)
    これは名前の通り、長期間保持できる記憶です。自分が苦労して習得したスキルや知識、過去に訪れた旅行体験などが当てはまります。

これらの脳の記憶とビジネスデータの視覚化は密接に関係してます。Pre-attentive Attributesをデータを視覚化に上手に使いこなすことで、感覚記憶が伝えたい内容をキャッチしやすくなり、それが短期記憶、そして長期記憶へとスムーズに移行しやすくなります。

実際に体感してみよう

同じ数字が書かれた表を用意しました。例えば「45」の数字が何個あるか探し出そうとする時に左の表をみて瞬時に何個あるか答えられますか?ほとんどの人は難しいと思います。では、右の表のように色がついていたらどうでしょう?こちらはほとんどの人が瞬時に3個と答えられるはずです。

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このように色には視覚的に相手に注意を向けさせる効果があるので「ここに注目してほしい」という時には非常に効果的です。ただし、項目が多い場合などで色が多くなってしまう場合は注意が必要です。

実際のグラフでも見てみましょう。こちらはサブカテゴリごとの売上を棒グラフで表しています。ここでは例として「テーブル」の売上に注目してほしいと思いオレンジ色で目立たせました。17個あるサブカテゴリの中でテーブルだけに注目してほしいときには効果的ですね。

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このようなある特定の項目をピンポイントで注目してほしい以外にも、全体の傾向を見たい場合などがあるかと思います。その場合ではテーブルだけを色で目立たせることはせずに他の項目と比較しますよね。では先ほどのグラフのアプライアンスと電話機ではどちらの売上が大きいか瞬時にわかりますか?棒がほとんど同じ長さで互いに離れているのでおそらくぱっと見ではわからないと思います。

ではこちらのグラフではどうでしょうか?

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まずこのグラフを見て瞬時に左から右に売上順で並んでいるのが読み取れると思います。そしてアプライアンスは電話機の左側にあるので「アプライアンスの方が電話機よりも売上が大きい」と認識します。これがPreattentive Attributesの位置によるインパクトの強さです。

このように伝え方の切り口によってPreattentive Attributesの活用シーンは変わってくるので、最も伝わりやすい可視化方法は何なのか、ご自身のビジネスに当てはめて考えてみるとより伝わりやすい表現になるのではないでしょうか。

参考:ビジュアル分析を利用する理由

  :Visual Best Practice: Art and Science of Visual Analytics